解説・評論
6.92014
【世相診断】ちょっとクレーム考
【世相診断】ちょっとクレーム考
ビジネス上の苦情・クレームとは、一般的には消費者に提供されたサービスや商品に対する懐疑的否定 的作用といえます。それが昨今急増しているのはどういうことでしょうか。
仕事品質が低下している?そんなことはありません。 どんな業種でも年々歳々、仕事品質は向上しており、 20年前とは比較にならないほどです。クレームは神代の昔からあり、それを口にするからクレームであり、 思っても口にさえしなければクレームは問題にならないわけです。
クレーム心は不満、 疑問、 不審によって発起するものですが、 口にしない、できない要因があります。
それは、
1. 口にするのを遠慮する、我慢する、あるいは憚るという抑制心理
2. 口にしても良い結果にならないだろうと思う諦めによるものです。
今でも多くの消費者のクレーム心の中身は1.です。一方、もし貴方の町には1軒のガソリンスタンドしかない、店員は無愛想、サービスは最低だとしても、貴方はそこで給油するしかないのですからクレームは良い結果を生まないでしょう。「嫌なら来るな」 と言われて不利益を被るのは自分です。
反対に口にできるケースとはこの逆です。遠慮も我慢もする必要がなければ不満を口にするでしょう。2の ケースも、競争業者がいればお客様に選好される行動をとりますから、貴方のクレームは良い結果をもたら すかもしれません。
クレームを増幅させる要因は、消費者保護の気運と匿名社会化、そして売り手間の競争にあるといえます。 実は仕事品質が飛躍的に向上しても苦情・クレームは減らないのです。その理由は次の機会に。
(JRS News 第2号より)